『X』——連載再開を望む声が止まない、CLAMPによる伝説のサイキックバトルコミック

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CLAMP PREMIUM COLLECTION X/角川書店

※ややネタバレあり

目次

壮絶な描写と強烈なストーリーに中毒者続出

東京を舞台に、人類を巡る死闘が繰り広げられる――。

少女漫画の枠を超えた、類を見ない独創的な作品『X』をご存知だろうか?

女性漫画家集団・CLAMPによる、過激な描写と斬新なストーリーが話題を呼んだ“未完の傑作”である。

1992年より『月刊ASUKA』にて連載が開始され、単行本は既刊18巻、映画化およびテレビアニメ化も果たした。

しかし、五体の四散などグロテスクな表現も多く、当時発生した神戸連続児童殺傷事件や阪神淡路大震災の影響による世相の悪化に伴い、2002年に休載、現在に至るまで再開されていない。

物語は、母親の死後、主人公・司狼神威が東京に戻る所から始まる。神威はそこで、幼馴染の桃生(ものう)封真・小鳥兄妹と再会する。

実は神威には強大な超能力があり、人類を守り地球を存続させんとする「天の龍」という選ばれし7人の一人となるか、人類を滅ぼし地球を変革せんとする「地の龍」という選ばれし7人の一人となるか、どちらになるかの選択を迫られていた。双方の勢力からアプローチのある中、自らの運命に葛藤する神威であったが、幼馴染である「封真と小鳥を守りたい」との思いから「天の龍」を選ぶことを決意する。

すると、封真は豹変。実は封真は神威の添え星として生まれたという運命を背負っていた。添え星とは、神威の決断により一人不足してしまうことになるどちらかの龍のメンバーを補うため、もうひとり神威に生まれかわれるということであった。「地の龍」のための神威となった封真は、妹である小鳥を殺害後、どこかへ飛び去った。

愛する人達を護るため、神威は封真を取り戻すことを心に誓い、“七つの封印”と呼ばれる「天の龍」6人たちとともに、“七人の御使い”と呼ばれる封真率いる「地の龍」と激しい戦いを繰り広げていく。

絵画のように美しい絵と圧倒的な世界観に息を呑む

時に繊細に、時に力強く描かれた絵は実に美麗で、コマ割りまでも美しい。

バランスの取れた構図、小気味良い展開も素晴らしく、難しい世界観にも関わらず、画力によって瞬時に引き込まれてしまう。

世間を賑わせたグロテスクな描写は確かに目を引くが、この物語においては必要不可欠ともいえる。

2つの神剣を産む過程で2人の女性の体が四散し、封真によって殺害された小鳥の体もまた四散してしまうが、神剣の担う重要な役割や神威の意思決定に及ぼす重大な影響を考えれば必然なのである。

また、死闘において頭部切断や目を抉られるなどの衝撃的な描写もあるが、“七つの封印”、“七人の御使い”をはじめとするキャラクターたちの生き様や死に様を示すのには肝要な表現であろう。

彼らはそれぞれに秘めたる事情や過去を抱えている。「地の龍」の神威は相手の本当の望みが分かるという特性を持っており、それらの描写が彼ら自身の望みを反映している、という点で実に興味深い。

さらに、本作には実存の靖国神社、井の頭公園、東京都庁、東京タワーなどが登場し、大胆に破壊されてしまう。神威を除く「天の龍」は戦闘時の建造物へのダメージを無効にする“結界”を張れるため、実際にはほとんど破壊されてはいないのだが、日頃見慣れた風景が崩れ去る様子は凄絶だ。

異彩を放つCLAMPマジックに、未だ魅了され続ける

最後に、本作がクロスオーバー作品である点も、数ある魅力のうちの1つといえよう。CLAMP作品を愛する者にとってはたまらない演出だ。

『東京BABYLON』や『CLAMP学園探偵団』の主要キャラクターが登場するのだが、『CLAMP学園探偵団』ファンである筆者は、初等部生徒会メンバーの大人になった姿を見て、大変感動した。

現在、本作の主要キャラクターである皇昴流、桜塚星史郎をメインとした『東京BABYLON』が、『東京BABYLON 2021』として2021年より再テレビアニメ化されると発表されたことで、再び本作が注目を浴びることとなった。(諸事情によりアニメ放送予定時期は未定)

休載から18年。社会は大きく変動し、世相も移り変わった。

CLAMP4人の望む結末は描写が厳しいとの声もあったが、現実とフィクションは異なる。『X』の迎える“世界の終末”は、決して現実ではないのだ。何年、何十年経とうと、作品の魅力は衰えることがない。

「結末を見るまで死ねない」そんな思いを抱えて、今日か、明日かと再開の日を待ち侘びている。“未完の傑作”が“最高傑作”になる時を願って止まない。

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この記事を書いた人

フリー編集・ライター。ライフスタイルやトラベルなど、扱うジャンルは多種多様。趣味は映画・ドラマ鑑賞。マンガも大好きで、日々ビビビと来る作品を模索中! 特に少年・青年向け、斬新な視点が好み。

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