ピュアギャルなビール売り子に、野球場への想いを馳せる……『ボールパークでつかまえて!』

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ボールパークでつかまえて!
『ボールパークでつかまえて!』(須賀達郎/講談社)
目次

「お兄さん、私のことタイプなんだ~?」ギャルでウブなビール売り子に絡まれて

「ビールいかがですかって言ってんじゃん」。社畜の道まっしぐらのサラリーマン・村田の仕事終わりの楽しみは、贔屓のプロ野球チームの試合を本拠地球場で観戦すること。空いている自由席でまったりと観ることを好む村田にある日、押しが強めな見覚えのないビール売り子が声をかけてきた。おしゃべりでグイグイくるギャルな彼女……ルリコに、ドギマギしてしまう村田。しかし実は、当のルリコも後で真っ赤になっているのであった……。

「応援時や球団歌・応援歌の歌唱時の大声」「観客同士のハイタッチや肩組み」「タオルを振り回しての応援」「ジェット風船の使用」などが“禁止”。プロ野球球場は、昨今のコロナ禍でその光景が大きく様変わりした場所のひとつだろう。現地観戦は年に1度か2度のゆるいプロ野球ファンの筆者でも寂しく思う現状だが、その気持ちを少なからず癒してくれるマンガに出会った。“球場愛コメディ”をうたう『ボールパークでつかまえて!』だ。

著:須賀達郎
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球場のあらゆる“住人”にスポット! 笑って泣いての人間ドラマに「野球好き」があふれる

「千葉」の地名が出ることからも明らかだが、モデルは手拍子と大きな声による熱狂的な応援が特徴の、あの球団の本拠地である潮風が気持ちいい某屋外球場。軸となるのは村田とルリコのニヤニヤさせるやり取りだが、ベテラン選手の夫を応援する元女子アナの妻、歴30年を誇る球場警備員、ビール売り子に憧れる弁当屋バイトの女子大生、こっそり活躍する球団マスコットら、球場のあらゆる“住人”の姿にスポットしていくのが見どころだ。

元高校球児で、過去にも野球を題材にしたマンガを数多く連載してきた著者だけに、その目線からはリアリティはもちろん、あふれんばかりの「好き」が伝わる。個人的には、2巻収録の第13話冒頭に描写されている、球場に来て初めてグラウンドが見えた瞬間の「視界が一気に開けるこの感じ!!」の良さに最も共感した。プロ野球ファンであってもなくても球場に想いを馳せたくなる、笑って泣いての人間ドラマにとにかく熱がこもっているのだ。

「誰かのために闘う人間は強い」球場のあの賑わいが、いつかまた戻る日まで

「誰かのために闘う人間は強い」。2011年、東日本大震災後で日本中が苦境にあるなか、当時のプロ野球選手会長であった楽天(現ヤクルト)・嶋基宏選手が、スピーチに盛り込んだ印象的な言葉だ。昨今、プロ野球が当時とはまた違った苦境にある中、キャラクターたちが互いに応援し合う姿も印象的な本作を読んで、ついこの言葉を思い出した。球場のあの賑わいが、いつかまた戻る日まで。球場でビールを飲みたくなりつつ、励まされつつしている。

著:須賀達郎
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この記事を書いた人

アニメやマンガが得意な(つもりの)フリーライター。
大阪日本橋(ポンバシ)ネタやオカルトネタ等も守備範囲。
好きなマンガジャンルはサスペンス、人間ドラマ、歴史・戦争モノなどなど。
新作やメディアミックスの話題作を中心に追いかけてます。

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