『ブレス』——夢に向かって走り続ける若者たちの煌めく日々を描いたヒューマンドラマ。夢を持つことの尊さに気付くはず

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『ブレス』(園山ゆきの/講談社)
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夢を持つことの本質を思い出す、夢追い人たちの放つ輝き

あなたには夢があるだろうか。叶うにせよ、叶わないにせよ、夢を持つのは素晴らしいことだ。夢は生きる糧になり、目的にもなる。

若い頃は無敵で、何者にでもなれるような気がしていた。大人になって、広い社会に出て、現実を知って、段々と夢を失ってゆく。何者にもなれない自分に気が付いて、絶望すら感じる。夢を持ち続けるのはとても難しい。しかしながら、夢のある人生は光り輝いている。この世の中に、夢を持ち続けている人はどれだけいるだろう。『ブレス』は、そんな夢を持つことの煌めきや苦しさを教えてくれる青春漫画である。

登場人物たちが過ごす日々があまりに眩しくて、何故だか涙が込み上げてくる。私は一体いつ夢を見失って、諦めてしまったのだろうと悲しくなった。人々の夢のほとんどは叶わない。夢を掴むのはひと握り。けれども、結果はどうあれ、夢のために努力した日々はいつまでも光り輝き、かけがえのない仲間を得て、いつの日か頑張った自分を認めることができる。夢のために努力した人は、本作に触れると、その眩さを懐かしく温かく感じることだろう。筆者のように夢から逸れた人は、説明しようのない感情に支配され、「過去に戻ってやり直したい」と切望するはずだ。

男子高校生で元モデルの宇田川アイアは、メイクアップアーティストになる夢を諦めかけていた。ある時、学園祭のアーティストコンテストに冴えないクラスメイトの女子・炭崎純と出場することになり、そこで純の魅力を引き出すメイクに挑戦する。ふたりは優勝し、アイアはメイクアップアーティストに、純はモデルになる夢を追うことを決意。アイアは渋谷にあるメイクスクール「MIRROR」で技術を磨きつつ“U21ヘアメイクコンテスト”での優勝を目指し、純はモデルオーディションに挑むことに。彼らの夢の行き着く先とは――。

著:園山ゆきの
¥759 (2024/02/27 20:09時点 | Amazon調べ)

夢のために努力する若者の姿に見る、人生を輝かせる方法

力強い線で描かれた作画は美しく、登場人物は誰もが麗しい。

必要な場面で丁寧に描かれた背景が現れ、豊かな表情や鮮やかなメイクを強調する場面では効果的に余白が使われていてメリハリが実に見事。喜怒哀楽や僅かに揺れ動く感情を繊細に映す表情描写は特に素晴らしく、彼らの毎日が鮮明に浮かび上がる。物語はサクッと進むが、人物の巧みな描写によって夢に向かい時に揺らぐ若い心は手に取るように分かる。

全ての場面に趣があり、夢の持つ輝きがしっかりと反映された独特で優美な世界が広がっている。

部活動をテーマにした青春漫画は多々あるが、具体的な夢に向かって努力する若者の姿を描いた作品はあまりないので心に刺さる。

アイアの夢はメイクアップアーティスト。現実に男性が多く活躍していることもあり、性別を意識させないところがまた良い。メイクをされるのは圧倒的に女性が多いのに、「メイクで人を○○にしたい」という強い思いに男女で変わりがないのも面白い。これまで筆者はメイクを疎かにしてきたが、本作を読むとメイクの持つ無限の力や、メイクでしかなし得ないものがあることに気付くことができる。メイクはどこまでも自由で、無二の個性だ。長い人生で行き詰まった時、メイクアップアーティストにメイクをお願いしてみたら本当の自分に気付くことができるかもしれない。私にも、あなたにも、当人では気付けない魅力がきっと隠れているはずだ。たかがメイク、されどメイクで人生は変わる。

本作の物語はキラキラと輝いている。登場人物の素材があまりに良く才能もあり、まだ挫折も少ないので共感できる部分は少ない。だが、共感性がなくとも、感情移入できなくとも、“夢追い物語”としては実に見事である。

地方出身ながら夢のためにもがく代々木ギンガ、モデルとしての夢物語は終わりだと考えている北山由希子の各ストーリーはあまりに眩しくて胸がいっぱいになってしまった。夢は確実に、それを追う人々の人生に彩りを与える。

時代は変わった。これからも変わる。SNSや動画配信サイトが全世界に広まったように、これからまた新しいプラットフォームが生まれる可能性もある。夢を叶える手段も、努力をする方法も増えるばかりだ。国籍、性別、年齢問わず、努力していれば誰かの夢はきっと叶う。それはもしかしたら、あなたの夢かもしれない。

目標に向かって懸命に頑張る人々の美しさを教えてくれる

本作は、講談社による月刊漫画雑誌「少年マガジンエッジ」にて2022年より連載され、未完、既刊4巻。「少年マガジンエッジ」の休刊に伴い、「月刊少年シリウス」へ移籍。

若さ溢れる青春の輝きが目に沁みる素敵な作品。

自分にはなかったキラキラの青春を羨ましく思うも、あまりに完成されていて悔しさや妬みは浮かばない。まだ若い皆さんにとっては、夢を持って努力する喜びを知るきっかけになることだろう。努力できる対象であれば夢は何だって良い。行動を起こす前から「どうせ叶わない」と諦めるのは勿体無い。

もう若いとは言えない夢を失ったみなさんにとっては、再び夢を見てみようと思うきっかけになるはずだ。目標に向かって努力する姿は美しい。たとえ夢が叶わなくとも、その過程は財産となり、「いい人生だった」と思わせる経験となるはずだ。今こそ、あなたなりの夢を描こう。

著:園山ゆきの
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この記事を書いた人

フリー編集・ライター。ライフスタイルやトラベルなど、扱うジャンルは多種多様。趣味は映画・ドラマ鑑賞。マンガも大好きで、日々ビビビと来る作品を模索中! 特に少年・青年向け、斬新な視点が好み。

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