『十角館の殺人』のコミックリメイクは、あの1行のトリックを表現したマンガならではのアイデアに感動【一気読みのすすめ】

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『十角館の殺人』(原作・綾辻行人、漫画・清原紘/講談社)
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映像化困難と言われる仕掛けを持つ名作のコミックリメイクに衝撃

名作ミステリーと呼ばれる作品は、国内外問わず数多く存在する。なかでも今春Huluで実写化されるというニュースに驚かされた『十角館の殺人』は、1987年に刊行された作家・綾辻行人のデビュー作であり、“新本格ムーヴメント”を巻き起こした立役者の作品のひとつだ。

2023年10月にはアメリカの雑誌『タイム』(Time Magazine Singapore)が選ぶ「『史上最高のミステリー&スリラー本』オールタイム・ベスト100」に選出されるなど、今なおその輝きは失われず、名作ミステリーの地位を維持し続けている。

少し話題が横にそれてしまうが、「新本格」について簡単に説明しておこう。魅力あふれる謎と論理的な解決に重きを置いる「本格ミステリー」の人気が下火になりつつあった1980年代後半。そんな状況を打破すべく、若い作家たちが次々と作品を発表することで発生したミステリー復興の潮流やその作品を指して「新本格」と称されている。

その後のミステリーの流れを変えたとも評され、後にベストセラー作家となる綾辻行人の“原点”にして“記念碑”的な一作と言っても過言ではない同作が、コミカライズ化されていたのはご存じだろうか。

原作では“ある1行”によって事件の様相を一変させる手法が衝撃的と言われていた。そのメインとなる仕掛けの性質から、孤島に奇妙な館、そして殺人事件とミステリーとしては多彩な要素を持ち合わせているものの、実写化は困難だと思わざるを得ないし、事実、映像化されてこなかった。今回の実写化はもちろん、コミックリメイク作の存在にも、だからこそ驚かされた。

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新たな驚きをもたらす仕掛けは文句なし! 作画の雰囲気もマッチ

そもそも本作は、角島という無人島と本土で2つのストーリーが並行して進行。角島の舞台は風変わりな建築家・中村青司が設計した「十角館」。角島では前年に青司とその妻、使用人が謎の死を遂げていて、合宿訪れた大学の推理小説研究会のメンバーが事件に巻き込まれていき、本土では同研究会の元会員・江南孝明が怪文書を受け取り、ひょんなことで知り合った島田潔と調査に……と展開していく。

コミカライズ版では、江南が女性キャラクターに時代背景が2018年に、また事件の原因となった前年の出来事など、いくつか変更点もあるが、基本的には原作に忠実。清原紘が手がける作画は美しくも雰囲気があり、エキセントリックさと妖艶さのバランスが抜群で、ドラマを盛り上げてくれている。

原作における“ある1行”に関しても、マンガならではの手法と絵のタッチが最大限の化学反応を起こし、「その手があったか」と納得と新たな感動を覚えさせてくれる。願わくはマンガ版を読む前、もっと望むなら原作を読む前に戻って、両作の驚きを今一度味わいたい。

ミステリーの、特にとびきりのトリックほど、コミカライズや実写化には困難がつきものだが、『十角館の殺人』は重要なトリックはもちろん細部の改変含め、見事なまでの「コミックリメイク」を実現している。原作とマンガ(完結済みなので一気読み可!)の読み比べを是非ともおすすめしたい。

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この記事を書いた人

映画やドラマ、アニメにマンガ、ゲーム、音楽などエンタメを中心に活動するフリーライター。インタビューやイベント取材、コラム、レビューの執筆、スチール撮影、企業案件もこなす。案件依頼は随時、募集中。

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