突然壊れた日常、襲い来るのは恐怖(?)の「猫」たち……『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』

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『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』(原作・ホークマン、作画・メカルーツ/マッグガーデン)
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世界は「猫」に支配された……“地獄”を生き抜く猫好きたちの逃走劇の始まり

「必ず猫と生きていける世界が戻るまで生き延びてみせる」。某猫食品精製会社で爆発事故が起き、それによって“実験体の猫たちが脱走した”ことをとあるフリージャーナリストが伝えるも、人知れず忘れ去られてから3日後。傷だらけで雨の路地裏をさまよう記憶喪失の男・クナギは、猫を見かけて頭痛を催し倒れるが、通りがかった女性に助けられた。

それからさらに4カ月後。クナギは未だに記憶を失ったままだが、なぜか「猫」に関しては事細かな知識があることを生かし、助けてくれた女性・カオルとその兄・ガクが経営する猫カフェ「メゴコロ・ネコメ」に従業員として身を寄せていた。そんなある日、カフェに訪れた常連客がいきなり猫のおやつを食べ始め、猫に変化するという出来事が発生する。

元常連客だった猫と接触したカフェの猫たちにも異変が起こり、続いて襲われた別の客もなんと猫に。猫に襲われつつ逃げるよう呼びかけたガクに従い、クナギ、カオル、客のタニシが外に出ると、街は様子のおかしい猫であふれ返り、逃げる人々でパニックに陥っていた。「俺はもう……猫だ」。足止めを名乗り出たガクを残し、クナギたちの逃走が始まった。

著:ホークマン, 著:メカルーツ
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アポカリプスならぬ“ニャポカリプス” ――「ゾンビ」を「猫」に置き換えたパニックホラーの魅力とは

「一匹の猫から次へと広がる」。ノーベル文学賞に輝くきっかけとなった『老人と海』などで知られる、小説家・詩人のアーネスト・ヘミングウェイが遺した言葉だ。遺伝子変異で多指症になった猫を「幸運を呼ぶ」として可愛がったらしい彼の愛猫家ぶりが浮かぶが、この言葉をパニックホラー的な意味で捉えたような内容のマンガをご存知だろうか。アポカリプスならぬ“ニャポカリプス”を描く『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』だ。

タイトルは読んで字のごとく、“ゾンビもの”の原点にして金字塔であるかのゾンビ映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(ジョージ・A・ロメロ監督/アメリカ、1968年)のもじり。そこから想像できるとおり、本作はざっくり語れば「危機的状況から生き延びることを目指す人々を描く」内容のマンガなのだが、その見どころは何と言っても襲い来る危機が「ゾンビ」ではなく「猫」であることにある。

「ある日突然、日常の中でゾンビパニックが始まる」「ゾンビに噛まれた者はゾンビになる」など、物語は冒頭から“ゾンビもの”のパニックホラーあるあるに即して進んでいく。しかし、その「ゾンビ」を「猫」に置き換えるだけで、ここまでシュールで笑え、そして何より可愛くなるとは。「入れて入れてサイン」「狭い場所を“液体”のように通ってくる」といった、リアルな猫の生態や習性を織り込んだ恐怖(?)表現は本作ならではの魅力だ。ある人物による「猫だああああああ!! 可愛いぞおおおお!!」のセリフに、作品の本質がある。

「逃げる」か「戦う」かではなく「愛でる」か「愛でない」か。「猫」がもたらす新機軸

クナギたちに降りかかった「猫災害」は、発売中の第2巻でその始まりの一夜の物語が一段落するが……。次巻予告によると、ここまでは「プロローグ」だそうだ。「愛でたい、しかし愛でれば……」という猫好きならではの葛藤が、本来的には「逃げる」か「戦う」かしかなかった“ゾンビもの”の登場人物たちに新機軸をもたらしている本作。猫好きはもちろん、新たな“ゾンビもの”、パニックホラーを求める読者にもオススメしたい一作だ。

著:ホークマン, 著:メカルーツ
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この記事を書いた人

アニメやマンガが得意な(つもりの)フリーライター。
大阪日本橋(ポンバシ)ネタやオカルトネタ等も守備範囲。
好きなマンガジャンルはサスペンス、人間ドラマ、歴史・戦争モノなどなど。
新作やメディアミックスの話題作を中心に追いかけてます。

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