よりよき世界のため、凄腕スパイは“ちち”になる――「ジャンプ+」の旗振り役『SPY×FAMILY』

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SPY×FAMILY
『SPY×FAMILY』遠藤達哉/主営舎
目次

――男はスパイだった。“娘”となった少女は超能力者だった。“妻”となった女は殺し屋だった

東国と西国が冷たくにらみ合う時代。西国の諜報員〈黄昏〉はある日、東国の要人デズモンドの戦争計画を探る任務を与えられた。彼と接触する糸口は、その息子が通う名門イーデン校で開かれる懇親会のみ。そこで精神科医ロイド・フォージャーになりすました〈黄昏〉は、子をイーデン校に入学させ懇親会へ潜入すべく仮初めの家族を作るが、孤児院で引き取った“娘”のアーニャは超能力者、利害が一致した“妻”のヨルは殺し屋だった。かくして世界の命運は、互いに正体を隠した“スパイファミリー”に託されることに……。

著:遠藤達哉
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わずか6巻で累計800万部! 「暗いの禁止」の“スパイ×アクション×特殊家族”コメディが面白い

『鬼滅の刃』に『呪術廻戦』と、昨今のマンガ界隈でも相変わらずシーンを牽引している感のある「週刊少年ジャンプ」の作品。アプリとWEBで展開する“ライバル”の「ジャンプ+」も、そんな本誌に負けず劣らずの注目を集めているが、その「ジャンプ+」の現在の旗振り役を挙げるとするならば、まず間違いなくこの『SPY×FAMILY』になるだろう。

既刊は2021年2月時点で6巻だけと少ないながら、その第6巻は「ジャンプ+」のオリジナル作品として初となる初版100万部が刷られており、シリーズ累計の発行部数はなんと800万部を数える。アニメ化などのメディアミックス前ながら既に異例の人気を獲得している、WEBマンガ界の出世頭とでも言うべき“スパイ×アクション×特殊家族”コメディだ。

史実の東西冷戦下を思わせる舞台のもと、これも実際に行われていた情報戦に身を置く主人公のスパイが、時に肉弾戦も厭わずに諜報活動を繰り広げる……という作品の根幹設定は、これだけならハードかつシリアスな展開が定石の“スパイもの”だが、作者と編集者の合言葉は「暗いの禁止」(『このマンガがすごい!』編集部「このマンガがすごい!2020」)。

「『スパイものをやりたかった』というよりは『嘘をついている人たちの話』」という作者の言葉通り、それぞれの特異な能力がつい不穏な展開を呼び込んでしまっても、やがて行き着くところはすれ違いコメディ、というのが大きな見どころだ。マスコット的な可愛さで舌足らずに物語をかき回すアーニャが、その実は心を読む能力者のために作中のあらゆる真実を否応がなく知ってしまう立場にある……という構図も微笑ましく、面白い。

抑えるべき設定は“スパイ&超能力者&殺し屋の疑似家族”だけ! あっという間に痛快ホームコメディの虜に

物語は現在、実は予知能力を持つ飼い犬ボンドを加えて任務を遂行するフォージャー一家に、ヨルの弟にして実は東国の秘密警察に所属するユーリや、〈黄昏〉の同僚で実は彼を慕う女性諜報員の〈夜帷〉らも茶々を入れる状況となった。しかし、1話と2話でアーニャとヨルの登場さえ抑えておけば、最新話をつまみ読みしてもストーリーについていける分かりやすさがあるのも、『SPY×FAMILY』が人気となったポイントだと想像できる。

「ジャンプ+」のオリジナル作品は、アプリからアクセスすれば初回は全話を無料で閲覧できるという、新規読者にとってやさしい入り口がある。その危うくも和やかな団欒をひとたび覗いてみれば、あっという間に痛快ホームコメディの虜になってしまうに違いない。

著:遠藤達哉
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監督:古橋一浩, 出演:江口拓也, 種﨑敦美, 早見沙織
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TVアニメ『SPY×FAMILY』本予告

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この記事を書いた人

アニメやマンガが得意な(つもりの)フリーライター。
大阪日本橋(ポンバシ)ネタやオカルトネタ等も守備範囲。
好きなマンガジャンルはサスペンス、人間ドラマ、歴史・戦争モノなどなど。
新作やメディアミックスの話題作を中心に追いかけてます。

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