1兆ドル稼げば、この世の全てが手に入る…!“世界一ワガママ”なスタートアップストーリーが熱い『トリリオンゲーム』

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トリリオンゲーム
『トリリオンゲーム』(原作:稲垣理一郎・画:池上遼一/小学館)
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世界長者番付、21世紀初の日本人トップ10!“世界一のワガママ”が達成されるまで

「こんなごっつい家が、夢だったんじゃないのに~~!!!」。ある年の世界長者番付で、ふたりの日本人が21世紀初のトップ10入りを果たした。彼ら……通称「ガク」と「ハル」は、高校時代からの友人である。お台場を臨む都心の一等地に引っ越してきたガクは、高校時代から思い描いてきた素朴な将来像から、あまりにもかけ離れた場所まで上り詰めている自分に困惑していた。そんな彼とハルの出会いは、中学時代最後の春までさかのぼる……。

1兆ドル(trillion dollars、トリリオン・ダラー)=100兆円。GAFAとも称される世界最大の企業群の時価総額だ。この途方もない金を巡る“ゲーム”を冠した『トリリオンゲーム』は、「100兆円あればなんでも買える」と豪語する天才的なコミュニケーション能力を持つハルと、そんな彼に見出された天才的なPCスキルを誇るガクによる、この世のもの全てを手に入れる計画「トリリオンゲーム」の顛末を描く、痛快なスタートアップマンガである。

原作:稲垣理一郎, 画:池上遼一
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「俺らのワガママは、世界一だ!!!」コミュニケーションの天才×PCの天才、両輪で動き出す

物語は、ガクの目線から彼らのこれまでを振り返る形で進行するのだが、キーマンとなるのは言わずもがな、ハルの存在だ。ガクから見たハルの第一印象は「計算高いくせに、ワルいことにもブレーキが無い。どう考えてもヤバい奴」。しかし、いざ話すとあまりにも“イイ奴”なハルに助けられたガクは、そのPCスキルで借りを返すことを選ぶ。竹を割ったような性格のハルにいきなり惹かれる読者は、きっとガクと筆者だけではないはずだ。

“共犯者”にして友人となった彼らはやがて大学生になり、就活の時期を迎えるが、ハルの立ち回りはさらに痛快さを増す。全敗のガクと全勝のハルのド本命は、日本最大のIT企業ドラゴンバンク。採用されたハルはなんとその椅子を蹴り飛ばし、不採用だったガクと組んで同社を「買い叩く」と宣言する。実力はあるのに報われないガクに共感しながら読んでいると、「俺らのワガママは、世界一だ!!!」と言い切るハルに、胸がすく思いがする。

原作者の稲垣理一郎は、青年誌での連載は本作が初だそうだ。『Dr.STONE』しかり『アイシールド21』しかり、「正攻法では太刀打ちできない壁を、いかに工夫して乗り越えるのか」というストーリーテリングに定評のある稲垣。両極端な才能を“両輪”で転がす本作は、掲載誌も相まってまさに本領発揮といった感がある。『サンクチュアリ』の池上遼一による作画は一見では年齢層高めだが、ガクとハルの熱い友情を見ればどんどんハマってくる。

「勝つまで、何万回もやりゃあいい……!!!」ゼロから始まった「トリリオンゲーム」、その第一歩

こうして起業することになったガクとハルは、この後もハルの度胸とハッタリにガクが巻き込まれる形で、やがて「トリリオンゲーム」の第一歩を踏み出すことになるのだが……。

第1巻のハイライトを持って行くのは、ずっと前面に出ているハルではなく、彼と並んで前面に出る覚悟を決める、とある場面でのガクの姿だろう。「何を捨てるかで誇りが問われ、何を守るかで愛情が問われる」とはスティーブ・ジョブズの言葉だ。未来の成功者たちは、ゼロからどんなミラクルを巻き起こしていくのか。今後、見逃せない最強タッグである。

原作:稲垣理一郎, 画:池上遼一
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金曜ドラマ『トリリオンゲーム』プロモーションビデオ

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この記事を書いた人

アニメやマンガが得意な(つもりの)フリーライター。
大阪日本橋(ポンバシ)ネタやオカルトネタ等も守備範囲。
好きなマンガジャンルはサスペンス、人間ドラマ、歴史・戦争モノなどなど。
新作やメディアミックスの話題作を中心に追いかけてます。

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