究極の“鉄ヲタ”漫画へと正常進化(!?)した『鉄子の旅 3代目』

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鉄子の旅 3代目
『鉄子の旅 3代目』(霧丘晶/横見浩彦/小学館)

2001年に連載がスタートした『鉄子の旅』シリーズも、『鉄子の旅 3代目』で“ほぼ17周年”(連載空白期間があるため)を達成。連載自体は2019年に終了したものの、初代・2代目も含めた『鉄子の旅』シリーズ3作品は、今や鉄道趣味系コミックの草分け的存在に。鉄道に興味がない方でも一度は耳にしたことがある、究極の“鉄ヲタ”漫画なのです。

著:霧丘晶, 読み手:横見浩彦
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鉄道に興味がない女子漫画家+究極の鉄ヲタ

では、改めて『鉄子の旅』とは?

シリーズ3作品を通し、基本コンセプトは「鉄道に興味がない女子(新人)漫画家」と「全国全駅・乗車下車を達成した究極の鉄道ヲタ」横見浩彦氏のコンビが織りなす鉄道旅。ひたすら自分の世界(=趣味)に暴走しまくる横見氏と、そのあとを何が何やらわからないままオロオロと追いかける漫画家の珍道中を、面白おかしく作品化したものです。

初代『鉄子の旅』の担当漫画家は、菊池直恵。2001年から2006年までの連載48旅に加え、アニメ化に合わせたスペシャルエピソードなど、鉄子の旅といえば初代・キクチ版な方も多いのでは?

2代目となる『新・鉄子の旅』(2009~2013年)は、同作がデビュー作だった当時19歳の新人・ほあしかのこが担当。女優・村井美樹が旅のメンバー入りし、主要キャラとして劇中に登場したことでも話題に。

2016年から連載がスタートした3作目『鉄子の旅 3代目』の担当は、霧丘晶。2代目で様変わりした作画タッチに賛否両論があっただけに、初代キクチ版の雰囲気に戻った3代目は、“鉄子らしい鉄子の旅”として幅広い支持を得ました。

鉄道趣味の旅が生み出す独特な風情

鉄子(=漫画家)と横見氏の旅は、毎回、ある特定の路線を乗り潰すスタイル。「乗り潰し」とは鉄ヲタ(=鉄道ファン)用語のひとつで、「その路線に始発から終点まで乗り通す」こと。

といっても単純に乗り通すのではなく、様々な駅で途中下車しては、地域の名所などを巡る旅に。ただ、問題はその“名所”。

一般人ではおよそ思いつかないような(気にも留めないような)鉄道趣味系スポットが多数登場し、鉄道ファンですら「そこに着目するのかー」と驚かされることもしばしば。事あるごとに強烈な個性を放つ横見氏のプランニングは、いわゆる“観光”とは程遠い旅に……。

そこで感性も趣味も一般人な漫画家が、「な、何を!?」「鉄道趣味って何なの!?」と引きまくりながらも、いつしか鉄道旅の魅力に気づかされていく。このアンバランスながら巧みな演出&構成に、作品の本質が秘められているわけで。

当初は手探り状態だった道中が、歩みを重ねるにつれ、鉄道旅の独特な風情へと進化していく様も魅力に。3代目では、より受け入れられやすい(=素人でも読みやすい)、自然体な味わいも感じさせてくれます。その分、作品の毒でもある“キモさ”が薄れたとも言えそうですが……。

3年スパンで蘇るゾンビ作品だけに再び……!?

シリーズ終了の度に、「こんな奇妙な作品はもう終わりだろう」と思わせながら十数年、ゾンビのように蘇ってきた『鉄子の旅』シリーズ。初代から2代目まで、2代目から3代目まで、ともに3年の空白期間があったことを考えると、次の復活は……2022年!?

となるかどうかは別にして、4代目の誕生を待ち望む鉄道ファンは多いはず。本シリーズのインパクトが強すぎ、他の鉄道趣味マンガが生まれなかった裏返しかもしれませんが……。

良くも悪くも、究極の“鉄ヲタ”漫画と化してしまった『鉄子の旅』。空白期の現在は過去作を読み返す良いタイミングなので、未読な方は、この機にぜひ! 最初の一作には、『鉄子の旅』シリーズの魅力を凝縮した『鉄子の旅 菊池直恵セレクション』(初代版から7編を掲載)がお勧めです。

著:霧丘晶, 読み手:横見浩彦
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この記事を書いた人

コミック、アニメ、鉄道、バイク(カブ主)、クルマ、旅、温泉、キャンプ、歴史&城、Audio&Visual、阪神タイガース、NFLなど、好きなモノがありすぎて困る多趣味人間な物書き(フリーライター)。神棚作品は『逮捕しちゃうぞ』『きまぐれオレンジ☆ロード』『ARIA』。

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