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『セトウツミ』の此元和津也が脚本を手がけたオリジナルアニメのマンガ版は、ひと味違った味付けで新たな考察&解釈で盛り上がる――『オッドタクシー』

『オッドタクシー』(此元和津也、P.I.C.S.原作/肋家竹一 画/小学校)

原作となるアニメとは趣の異なるアプローチが◎

マンガ家・此元和津也が脚本を手がけ、花江夏樹、飯田里穂、木村良平、山口勝平、三森すずこらが声優を務めたオリジナルアニメ『オッドタクシー』。2021年4月期アニメとしてテレビ放送され人気を集めたが、同作のコミカライズ版もなかなかあなどれない。

本作は、伏線が緻密に仕込まれた上でガツンと回収していく心地よさに加え、脚本を手がけた此元和津也の代表作でもある『セトウツミ』を彷彿させるような、独特で笑いのツボを刺激するセリフ回しがポイント。それでいて主人公のセイウチのタクシードライバーほか、キュートな絵柄で描かれたキャラクターたちが不思議なくらいマッチしていて、ミステリーとコメディが想像以上の相乗効果を発揮し楽しませてくれる。

アニメも最終回に至るまで、さまざまな考察合戦がくり広げられて盛り上がったが、マンガ版『オッドタクシー』では原作アニメに忠実でありつつも、一部展開やアプローチ方法に趣向を凝らし、また違った味わい方を提供してくれているのがうれしい。

クセになること間違いなしの絶品な掛け合いは健在

アニメ未見の方のため、あらすじを簡単に紹介しておくと、「動物たちが暮らす街の中で平凡な日々を送るタクシー運転手の主人公・小戸川が、多くのクセのある乗客とやりとりをくり返していく中で、やがて乗客たちと交わした会話が1人の少女の失踪につながっていく……」というストーリー。

振りからしてミステリー調が満載なのだが、先ほども触れたとおり、江戸川とクセのある客たちとの会話はまるで漫才の掛け合いのようで、セリフ回しの妙も相まって思わず笑ってしまうのがたまらない。その面白さはマンガ版でも健在で、コマ割りやシーン展開の流れにアイデアやアレンジを盛り込むことにより、マンガが初見の人だけではなくアニメ視聴済みであっても新鮮な気づきや、新たな考察スタイルを構築するといった楽しみ方ができるのも素敵だ。

アニメのコミカライズとあなどるなかれ! 互いに補完し合う良作

『オッドタクシー』を全力で楽しむには、事前情報を極力入れずにいることをオススメするが、今となってはアニメから観るか、マンガから読むかは実に悩ましいところ。アニメが先だからアニメをというのも良いし、最新巻となる3巻が11月30日発売なので、これを機にマンガ版から足を踏み入れるのも悪くない。とにかく、まずは本作の作風と完成度に少しでも触れてみてほしい。

個性的なキャラクターに不可解な事件や出来事、アニメとはひと味違った見せ方で迫ってくるマンガ版。両者が互いに補完し合い高め合うことで、『オッドタクシー』という作品の良さがより際立ってくる。総じて濃いめな味付けではあるが、一度食べてみればそのおいしさに気づくはず。アニメ原作のマンガなんて……と食わず嫌いでいる人も、だまされたと思って是非ご賞味を!

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