『金田一37歳の事件簿』――大人になった名探偵の孫は謎を解きたくない!? 新旧ファンが楽しめるバランス感が絶妙

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『金田一37歳の事件簿』(原作・天樹征丸、漫画・さとうふみや/講談社)
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天樹征丸&さとうふみやの本編タッグが描く大人になった金田一一

近年は、例えば『Yes!プリキュア5』『Yes!プリキュア5GoGo!』(いずれもテレビ朝日系列)の主人公・夢原のぞみらの成長した姿を描く新作アニメ『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』(NHK Eテレ)が放送されるなど、少年や少女だった主人公が大人になった世界線を描くマンガやアニメ作品が増えてきている。

大好きだった主人公が成長した姿が楽しめるのはファンとしてうれしい限りだが、今回紹介する『金田一37歳の事件簿』もまたタイトル通り、ミステリーマンガ『金田一少年の事件簿』(原作・天樹征丸、漫画・さとうふみや/講談社)の主人公、金田一一の“その後”を描いた作品だ。

『金田一少年の事件簿』は1992年に「週刊少年マガジン」(講談社)で連載がスタート。第1期にあたる“FILE”&“Case”シリーズ、短期集中連載という形式だった第2期シリーズ、20周年記念シリーズ、『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』、『金田一少年の事件簿30th』といった本編のほかにスピンオフ作品が生まれ、アニメ化や実写化もされた大ヒットシリーズだ。

今作は絶妙な哀愁感もさることながら、原作・天樹征丸&漫画・さとうふみやの黄金コンビが描いているだけあって“らしさ”全開なのもうれしい。

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変わらぬ良さと変わった良さ、エモさとモダンさの複合で攻める

当時は17歳だった一が、本作では37歳になっている。社会的には大人の部類に入るものの、ひと昔前に比べればまだまだ若さもあふれる世代。普段はどこか頼りなくフワフワしているお調子者の一のキャラクターとマッチしていて、妙にリアリティがあるのも面白い。たぐいまれな推理力を持つ一が、ごくごく一般的なサラリーマン生活を送っている姿は何とも言えない感じはあるものの、社会人経験がある人なら「わかる。わかる」と親しみを感じられるのは悪くない。

なにより本作の連載が始まった当初、一の「もう謎は解きたくないんだ」というセリフが話題に。高校時代の「じっちゃんの名にかけて」「謎はすべて解けた」といった決めゼリフで数々の難事件を解決してきた姿からは想像がつかない。ただし、高校時代の成績や生活態度を思い出してみると、彼がうだつの上がらない平凡なサラリーマンになっている状況に、妙に納得してしまう。

そして、37歳になっても相変わらず事件に巻き込まれてしまう体質は健在。いざ事件に遭遇すると、相変わらずの推理力で事件を解決に導く姿はカッコいい。やはり金田一は推理をしないと輝かないのだ。そんな一なのに、とにかく謎を解きたくないという大きな謎を含みつつストーリーは進行していく。

今のところ一の謎に対するスタンスの変貌ぶりの理由は明かされていないが、よくよく考えたら17歳から20年も経っているわけだから、その過程できっと何かがあったのだろう。エピソードが語られる日が待ち遠しい。

エピソードの面白さと縦軸の引きの強さで引っ張る

『金田一少年の事件簿』シリーズといえば、どこかレトロさやオーセンティックさを感じさせる、おどろおどろしい雰囲気が醍醐味の一つ。本作でもそのテイストを残しつつ、さまざまな面で現代的にアップデートもされており、懐かしさと新鮮さがない交ぜになった感覚がクセになる。

さらに幼なじみの美雪も話題には出るものの当初は姿を見せずと、事件解決以外にも多くの伏線や謎が散りばめられ、縦軸としての展開も興味を引かれるところ。冴え渡る推理では、金田一が大人になったからこそ、犯人側の大人の事情的な要素が盛り込まれるケースもあり、高校時代とは違った味わいを添えている。

一の宿敵、「地獄の傀儡師」こと高遠遙一ほか、懐かしのキャラクターも次々登場。さらに37歳となった一の最初の事件がオペラ座館絡みで、サービス精神旺盛なのも◎。ちなみに、青い鳥文庫には小学6年生の一を描いた『金田一くんの冒険』(作・天樹征丸、絵・さとうふみや/講談社)なる作品も。こうなると、いずれは各世代の金田一一の活躍を見たくもなる……という妄想はさておき、今はやるときはやる男・金田一一、37歳の活躍を思う存分楽しみたい。

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この記事を書いた人

映画やドラマ、アニメにマンガ、ゲーム、音楽などエンタメを中心に活動するフリーライター。インタビューやイベント取材、コラム、レビューの執筆、スチール撮影、企業案件もこなす。案件依頼は随時、募集中。

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