良くも悪くも「少しも“ゆるふわ”じゃなく」「日常的すぎて」「異様なほどにリアルな」JK・女子高生像を描く『女子高生の無駄づかい』。アニメやドラマで作品を知った方も、ご安心ください。原作コミックは、なおいっそう“無駄づかい”ですから。
大手出版社の伝統誌では生まれなかった異端作!?
まずは作品をご存知ない方のために、ティザー的な紹介文から。
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ちょっと残念な女子が集う、さいのたま女子高校。だいぶ偏差値が足りない田中（通称：バカ）と、BLに傾倒する菊池（通称：ヲタ）、無表情な才女・鷺宮（通称：ロボ）。彼女達とその周りに生息する色とりどりの仲間たちが、今しか生きられない“女子高生”を無駄に浪費する、日常学園コメディ──。
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んー、たぶんわかりませんね、これだけでは（笑）。要は、同級生で“バカ友”な女子高生3人を主役に、面白おかしいJK日常ライフを描くだけの物語。そう、「だけの物語」。
ありがちな“ゆるふわ”や“百合”要素は、ほぼ登場しません。どこかひねくれていながら、根は素直な女のコたちが、貴重な青春の1コマを無駄に浪費していく……ただそれだけのお話なのです。
これはおそらく、作者が女性で、自らの原体験を基に（？）作品化しているからでしょう。
このテの作品は得てして、男子目線で理想化された女子高生像になりがちです。幅広い読者層を意識する故でしょうが、『女子高生の無駄づかい』には、そうした気遣いが一切なかったり。ある意味、男子には衝撃的かもしれない女子の日常が描かれます。
その意味では、最初から狭い範囲の、ニッチな部分を狙った作品ともいえそうです。大手出版社の伝統誌では絶対に生まれない作品……なのかもしれません。
“女子高生＝恋愛脳”だと思い込んでいる男子へ
青春モノの定番要素な“恋愛”も、ほぼ描かれないと思っていいでしょう。
男子読者にはおそらく一番人気なヲタがヒロインとなる、“ほのかな憧れ→切ない結末”物語も、いわゆる恋愛劇の思い悩みとは一味も二味も違うわけで。
ヲタがネット配信の音楽にハマり、そのコンポーザーにほのかな恋心を抱き……という流れは、いかにも女子高生的。基本が四コマの延長線上にある作品構成だけに、唯一の長編的な物語といっていいかもしれません。
でも、その相手が実は……（ネタバレ）。オチと呼ぶには切ないストーリーですが、物語の終わらせ方や、結末を自分の中で昇華しなければならなくなったヲタの力強さには、誰もが共感させられるはず。脆さ、危うさ、タフさが背中合わせの女子高生像はリアルで、本作品ならではかと。
こうした読み応えのある要素が挿入され、ただの日常系コメディでは終わらないところも、作品の奥深さや魅力に繋がっていきます。“女子高生＝恋愛脳”だと思い込んでいる男子諸君には、いろいろ参考になるんじゃないかと!?
キラキラJKライフを無駄遣いする美学とは!?
バカ、ヲタ、ロボのメインヒロイン3人に加え、百井（ロリ）、山本（ヤマイ）といったサブキャラも個性的。連載当初こそメイン3人の物語ですが、中盤からは5人組のお話と考えたほうがいいかもしれません。
おバカな問題児に、ツッコミ激しいBLヲタク、感情がない謎美少女、心優しくもコンプレックスから反抗的なロリ少女、中二病全開な包帯少女。素顔は当たり前の女子高生なのに、一皮むけば超個性派で、どこか壊れているコばかり……。キラキラなはずのJKライフを無駄に費やす彼女たちは、ある意味、独自の美学を見せつける存在だとも。
大笑いしたり、思いつめるほど感情移入したりするなど、大げさなことは何もない、ただの日常系コミック。でも、疲れたり、精神的に参りかけたりしている際に読むと、クスッと笑わされ、なぜかホッとする。そんな作品があっても、いいじゃないですか。
ちなみに、初めて読む際は、まず1巻～3巻まで読み通すことをお勧めします。日常4コマ系～ギャグ全開～女子系あるある物語へと、作品が変化していく過程も楽しめるので。そこまで読み続けられれば、あなたはこの作品に向いています。4巻以降は大満足となるでしょう。
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