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なぜ人はクイズに引きつけられるのか? 『ナナマル サンバツ』が提示してくれる一つの“解答”

ナナマル サンバツ
『ナナマル サンバツ』(杉基イクラ/KADOKAWA)

「クイズ×マンガ×青春」という“革新的”スタイル

皆さん、クイズは好きですか? 古くは「クイズダービー」や「アメリカ横断ウルトラクイズ」、「クイズ100人に聞きました」などがあり、最近では「ネプリーグ」や「東大王」、「クイズ!THE違和感」といったものまで、テレビでは実に多くのバラエティー豊かなクイズ番組が放送されている。また、長寿クイズ番組の「パネルクイズ アタック25」が今秋で放送終了というニュースに驚いたが、入れ替わりの激しいジャンルでもある。

マニアからライト層まで、とにかく気軽に(※人によってはそうではないかもしれないが)視聴できるのがクイズ番組の良いところの一つ。家族や友人らと一緒に観て盛り上がる。そんな楽しみ方も悪くないのだが、ではそれをマンガでやってみたら……。そんなクイズを題材にした作品が『ナナマル サンバツ』だ。

物語の大枠は、「引っ込み思案な性格の主人公、高校生の越山識が競技クイズと出合い、ライバルや仲間たちと切磋琢磨しながら高校日本一を目指す」という内容。ちょっとした青春要素の味付けはあるものの、基本的にはクイズそのものにスポットを当てているのが面白い。単に登場人物たちがクイズに挑む姿を見るだけではなく、クイズを素早く&効率的に解くためのテクニックなども披露されているのが興味深い。

クイズは知識量を競うだけじゃない! 「戦略性」が勝負のカギ

ところでクイズと聞くと、パッと思い浮かぶのが「早押しクイズ」。豊富な知識を持った人が、いかに早く正解を発表できるかというスタイルは、緊迫感やスピード感にあふれ、まさに“戦っている”という競技性が魅力の一つと言えるだろう。

たしかにクイズは知識の豊富さを競う面に目がいきがちだが、それだけで勝てるほど単純ではないのも事実。そこには「戦略」や「テクニック」といった奥深い要素が存在。例えばクイズ番組を観ていて、「どうしてそんなに早く答えられるの?」と思ったことはないだろうか。

本作でも紹介されているのだが、実はクイズには“確定できるポイント”というものがあり、問題文の一定箇所まで聞くことで答えを導ける。ちょっと簡単で古典的だが「○○は△△ですが~」や「三大○○といえば、△△、□□と~」みたいな問題文もそれに類するものと言える。特に後者は「三大」で2つまで問題に登場していることから、□□を聞いた時点で答えが確定する、といった具合だ。学生時代の現代国語の長文問題を、設問から読んで解く感覚に似ているかもしれない。

これは一例に過ぎないが、本作には多彩なテクニックが登場。知識+戦略を駆使することで相手に勝つ。しかも本作を楽しみながらそういった手法を知っていけば、テレビでクイズ番組を観るときもまた違った角度から堪能できるというのも悪くない。

競技クイズを盛り上げる個性豊かなキャラクターたち

このように本作ではクイズ、それも競技クイズのあれこれを存分に描いているのだが、クイズものならではの仕掛けも抜かりなし。もちろんさまざまな雑学や豆知識を知ることができるのもそうだが、実際に解く楽しさも追求しているのが○。本作にはキャラクターらが解いた問題がペーパーテストのように掲載され、読者もまた自らクイズに挑めるという試みが心憎い。見るだけでなく参加するのがクイズの醍醐味ということを、しっかり体感できてしまう。

さらに作品を彩るキャラクターたちが抜群。主人公の越山識は競技クイズ初心者ながらもともと“本の虫”で知識量は多めなので、テクニックさえ身につけばなかなかの強者になるというのは想像がつく。ヒロインの深見真理はクイズに出題されやすい問題の早押しが得意など、それぞれ設定された個性が競技性をより広げてくれている。

そうした中で主人公よりもクイズに対して初心者感を前面に出しているのが井上大将。芸能やマンガ、アニメ、ゲームといった得意ジャンルはあるが、それ以外はからっきし。それでも識らの影響を受けて、次第にクイズ能力を高めていくという、王道だが注目しがいのあるキャラクターとなっている。

適度な青春要素やラブコメ要素も散りばめられているので、単にクイズものとしてだけでなく楽しめるのも二度おいしい点。単行本は全20巻で完結しているので一気読みも可能。少しでもクイズに興味がある人も、もちろんそうでない人も、思っている以上に奥深く熱量あふれる競技クイズの世界をのぞき見てはどうだろうか。

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