タイトルに興味を持ったら読むべし!徳川家康を筆頭とした“最凶内閣”が、現実とクロスオーバーする現代社会の問題にアツく立ち向かう――『もしも徳川家康が総理大臣になったら―絶東のアルゴナウタイ―』

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もしも徳川家康が総理大臣になったら―絶東のアルゴナウタイ―
『もしも徳川家康が総理大臣になったら―絶東のアルゴナウタイ―』(原作・眞邊明人、漫画・藤村緋二/秋田書店)
目次

歴史上の偉人たちが現代日本を目の当たりにしたら何を思う?

日本史に登場する武将の中で、皆さんは誰が好きだろうか。時代などに応じてそれぞれ好みの人物やタイプはいるだろが、学生時代に誰しもが一度は見聞きしたことがあるひとりに挙げられるのが徳川家康。嵐の松本潤が主演を務めるNHK大河ドラマ『どうする家康』の主人公であり、織田信長や豊臣秀吉とならび、かなり認知度の高い武将だろう。

そんな家康の名をタイトルに冠したビジネス小説『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(眞邊明人/サンマーク出版)が話題になったが、今回紹介するのは同小説を原作としたコミカライズ版。だいたいの想像はできるかも知れないが、タイトルにある通り、徳川家康が現代で総理大臣になった場合、日本がどうなっていくかを描いていく。

ここまで説明だけでは歴史上の偉人が現代にやって来る、または転生するなどのパターンをイメージする人もいるだろう。ところが本作の面白いところは、AI&ホログラム技術を駆使して偉人たちを現代日本に“復活”させるというアイデア。異なる時代を生きる人物たちが内閣として現代に集うとなると、前提説明に時間を要するが、AI&ホログラムでという設定なら、一足飛びに本題への突入が可能に。実に潔くもダイナミックな仕掛けが心地いい。

英傑が集結した内閣が問題山積みの現代に鋭く切り込む

物語の舞台は、コロナの影響が深刻な現代日本。さまざまな面で甚大な被害が発生する中、感染症により総理大臣まで死去してしまう。窮地に陥った政府は、与党幹事長主導のもと、起死回生を狙った策を発動。それがAIでの英傑たちを蘇らせ、“最強内閣”を発足して日本の危機に立ち向かうというものだった……。というのが本作のストーリーだ。

歴史好きならずとも、偉人たちが現代にいたらどうなのだろうか、といった妄想をしたことがある人も少なくないだろう。第1話では幹事長が、現実世界の情勢を色濃く反映した今作の世界において、誰が内閣総理大臣にふさわしいかを論じている描写がある。彼は、国を閉じ(鎖国)、国外に新たな領土を求めないことで逆に国を発展させるという閉鎖的な現代と似たような状況を意図的に作り出した徳川家康の手法を高く評価する。

たしかに興味深い論調であるし、最終的に今必要なのは過去から学ぶことではなく蘇らせることなのも、何だかワクワクさせてくれる。

アクティブでエキサイティングに活躍する英雄たちがカッコいい!

本作では家康を総理に据えた組閣が第1話で行われるのだが、総理の右腕とも言うべき官房長官が坂本龍馬なのも心憎い。日本史の中で人気ランキングをとったとしたら、2人ともおそらく上位に入るであろう人物だが、その考え方は似ているようで違い、異なるようで近いのも今後の展開に期待が持てる。

第1話終盤で判明する内閣人事は納得と衝撃が津波のように押し寄せてくる。はたしてあなたの予想と合うだろうか。役職と人物名を見ただけでピンとくる人もいれば、先読みできない面白さを醸し出す組み合わせも。どこまでも興味は尽きない。

AIによる過去の英傑で組閣された内閣が、激動の日本に立ち向かう。やや荒唐無稽な印象を抱く人もいるかもしれないが、骨太なストーリーと高い画力が圧倒的で、現実世界をシミュレートしているようなテイストが心を惹きつける。もしかしたら本当に可能性のひとつではなかろうかと思わせる展開は素晴らしい。なにより、偉人たちが活躍する姿はアツく輝いており、素直に前向きになれそう。今後の展開にも大いに期待したい。

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この記事を書いた人

映画やドラマ、アニメにマンガ、ゲーム、音楽などエンタメを中心に活動するフリーライター。インタビューやイベント取材、コラム、レビューの執筆、スチール撮影、企業案件もこなす。案件依頼は随時、募集中。

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