『スプートニク』コロナで生活が一変したとき、気の置けない仲間と話して気付いた自分の本心とは?

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『スプートニク』(海野つなみ/祥伝社)

『逃げ恥』(『逃げるは恥だが役に立つ』/講談社)の作者・海野つなみが、コロナ禍で一変した日々を織り込み、働き方や人生を見つめ直す男女3人の関係を1巻読み切りで描いた『スプートニク』。「人生が旅なら、出会う人たちは旅の仲間。出会って、少し一緒にいて、また別れて、その繰り返し。そう思うと、この先の不安や怖さも、少し薄らぐような気がした」。このフレーズを読んだとき、先が見えない日々でガチガチになっていた肩の力が、知らないうちにフッと抜けていた。 適度な距離感で支え合う3人が、それぞれの人生の転機を迎え、それにどう向き合うか。『スプートニク』に登場する3人の選択を通じ、持続可能な生活について考えてみたい。

著:海野つなみ
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コロナや介護で切羽詰まった状況だからこそ、思いがけず見えてきた本音と希望

職業柄土日は絶対に休めず、搾取されてばかりのウェディング業界で働いていた元上司と部下の汐路と浅利、そして汐路の弟の渡は、カフェ&バー「スプートニク」に時々集まっては、お互いの近況をだらだらと喋る仲。退職後に結婚&出産した汐路はタワマンのコンシェルジュとして働き、独身の浅利はコールセンターでカスタマーサポート業務に従事。一方、渡はデザイン事務所から独立し、フリーのデザイナーに。自分らしい生き方をそれぞれ模索していたが、2020年、世はコロナ禍に突入。3人の行きつけだった「スプートニク」も休業し、浅利は勤務先だったコールセンターが3密で業務縮小し、失業してしまう――。

久しぶりにマスク姿で再会し、花見をしていた3人。浅利が、次にどんな仕事に就くべきか思いあぐねていると、汐路が「いつか子どもが大きくなったらどら焼き&かき氷の店をやりたいと思っていた」と打ち明ける。すると今度は渡が「いざとなったら簡易郵便局を開局する?」と言い出して、浅利も「郵便局より大家がやりたい。お金があったら、立地はいいけど古いマンションを買って、リノベして賃貸に出して、また次の部屋をリノベして……って暮らしがしたいな~」と夢を語り出す。その後、ハローワークの公共職業訓練のなかに内装施工のコースがあると知った浅利は、「先が見えない毎日だけど、自分にできることを探して何か始めてみようかな」と、給付金をもらいながらリフォーム技術を学ぶことにする。

「いつかお店を~」と言っていた汐路も、ある日、母親が脳出血で倒れたことをきっかけに、弟の渡と現実的な将来設計を話し合う中で「実家をリフォームして住居兼お店にすればいいのでは?」と思いつく。そこでリフォーム技術を学んだ浅利に「娘が高校を卒業するまで、家賃光熱費ゼロにするから、住み込みで働いてもらえないか。浅利もマンションの購入資金が早く貯められてWIN WINなのでは?」と提案。渡もリノベ費用を半分負担すると名乗り出て、夢が実現に向けて本格的に動き出す――。

いま必要なのは、思い込みを取っ払った上での「やりたいことと出来ることの棚卸し」

「ピンチはチャンス」「必要は発明の母」という言葉があるが、一見夢物語に感じることでも、いざ口に出してみると「意外とイケるかも……?」と、思わぬ突破口が見つかることもある。もちろん思いつきだけで行動すると痛い目に合うことも多いが、誰にも言ってなかった願望を言葉にしてみたことで、思いもよらない誰かがアイデアを寄せてくれたり、手を差し伸べてくれたりした経験は、きっと誰しも少なからずあるはずだ。気心の知れた人に夢を打ち明け、「どうせ叶いっこない」と諦めかけたときが、まさに人生の転換期だったりする。

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この記事を書いた人

インタビュアー・ライター。主にエンタメ分野を中心に、著名人のインタビューやコラムを多数手がける。多感な時期に1990年代のサブカルチャーにドップリ浸り、いまだその余韻を引きずっている。

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